
ジュニアオーケストラや中高生の部活で、次の演奏会にどの曲を取り上げようか、迷いますよね。
今回は、ヴァイオリンパートに焦点を当てて、技巧的に難しいとされている曲をご紹介します。
選曲の参考になりましたら幸いです。
ヴァイオリンが難しい曲
・モーツァルト/交響曲第39番より第4楽章
プロオーケストラのオーディションで必ずと言っていいほど出題される曲です。
譜面は一見シンプルに見えますが、侮ってはいけません。
この曲の難しさのポイントは、フラットが3つの「変ホ長調」であるということ。A線もE線も解放弦が使えません。
「移弦」の難易度も高く、第4楽章の冒頭の第2ヴァイオリンを正確なリズムで弾くのは至難の業と言えます。
・ベートーヴェン/交響曲第3番「英雄」第3楽章
弓の「飛ばし奏法」が必要となるため、飛ばしながら、かつp(小さく)でのアンサンブルがとても難しい曲です。
・ベートーヴェン/交響曲第9番「合唱つき」より第2、3楽章
各パートが走ってしまいがちな曲です。ひとつのパートが走ってしまうと、歯車が狂って大参事になってしまいます。
また、フェイントのようにわざとずれて出現する箇所や、突然拍子が変わったりと、スリルのある構成になっています。
曲に慣れていないと、弾くほうとしてもスリルを味わうことになってしまうので、音源を聴きながら楽譜を目で追う練習をよくしましょう。
・メンデルスゾーン/交響曲「イタリア」より第1楽章
速い6/8拍子なので、一度バグが発生すると修正がききずらい難曲です。
まずはテンポにスムーズに乗れるよう、アンテナを張りましょう。
・シューマン/交響曲第2番より第2楽章
分散和音(アルペジオ)かつ、下降かつ、減七の和音…という、これでもかという技巧が要求される曲です。
・チャイコフスキー/バレエ組曲「くるみ割り人形」より序曲
この「序曲」は、第1ヴァイオリンにはハイポジションでの超絶技巧が求められる曲です。
ディヴィジ(パート内でさらに別れる)で少数になるうえ、各パートが重要になるので、数人だけが弾けている状態ではこの曲は成り立たないと言えます。
・ブラームス/交響曲第4番より第3楽章
弾きずらいパッセージの連続に、ジェットコースターのような速さと正確性を求められる難曲です。
運指(指使い)は、学生たちで決めてしまわずにトレーナーの先生に指示を仰ぎましょう。
・シューベルト/交響曲第8番「グレート」より第4楽章
未完成が弾きやすかったからといって選ばないようにしましょう。シューベルトはヴァイオリンに優しくない作曲家です。
・ショスタコーヴィッチ/交響曲第5番
この曲に挑戦する場合、まずは音源を聴きながら楽譜を目で追えるようになることが先です。
「練習」というと、つい楽器を構えたくなりますが、オーケストラではこのようなソルフェージュも重要な練習と言えます。
・ドヴォルザーク/交響曲第7番
「新世界やドボ8が意外と弾きやすかったから」という理由で選曲すると、ヴァイオリンの難易度の違いに痛い目を見ます。
いかがでしかたか?
学生のみなさんは、まずは自分たちが形にすることができる曲なのかどうか、弦楽器のトレーナーの先生とよく相談しましょう。
参考になりましたら幸いです。